エシカルコスメ[ethical cosmetic]

人にも地球にも優しい循環を実現するコスメ

エシカルコスメ
2023.04.17 [エシカルコラム]

化粧品の背景を学ぶシリーズ①クルエルティーフリー


エシカルコスメを選ぶ際に、まず

化粧品の背景にはどんな問題があるのか??

それをぜひ多くの方に知っていただきたいので、シリーズ化してお伝えしていこうと思います。



【クルエルティーフリー crueltyfree

という言葉をみなさんは聞いたことがありますか??


直訳すると

「残虐性(cruelty)が・ない(free)」

ウィキペディア(Wikipedia)さんによると、

「クルーエルティーフリー」という専門用語は、 「動物犠牲のない美しさ(英語: Beauty Without Cruelty)」 というラベルと共にフェイクファーの製造を世界に広めたLady Dowdingにより世界で初めて使用された。

とのことです。

要するに、この言葉を使用する場合、

何かしらのモノを製造したり開発する過程で、動物に残虐な方法を用いていないもの

が対象になることになり、



化粧品で言うと

『動物実験をしていない化粧品』

クルエルティーフリーの化粧品と言えます。


そういった意味では

このクルエルティーフリーの化粧品は

エシカル(道徳的・倫理的)なコスメの一部なんです。


※ちなみに、クルエルティーフリーコスメとヴィーガンコスメ(動物性を一切使用しない)は少し違います。【クルエルティーフリー=動物性不使用】とは限りません。





最近はコスメに限らず

アニマルライツ(動物の権利)

【アニマルウェルフェア(動物福祉)】

が、色んな分野で表現されるようになってきましたね。



動物実験は、化粧品に関わらず

医学研究や新薬開発、日用品、食品添加物、農薬、工業用品

化学物質の毒性試験や生理学、栄養学、生物学、心理学などの基礎研究

教育現場における解剖や手術訓練などの実習、兵器開発等


様々な分野で行われています。


動物代替センターを運営し、動物を用いない研究への助成機関のAnimal Free Research UKと

英国動物実験廃止連合(CFI)の調査によると、


世界では毎年、推定1億1530万匹以上の動物が犠牲になっているというデータがあります。

日本でも毎年推定2,000万頭が命を失っていると言われています。


海外では動物実験をする場合、施設の登録、査察が義務になっていて

違反が見つかれば罰則などがありますが


日本は、兵庫県にのみ条例で施設の届け出制があるだけで

国として動物実験の実態を把握するシステムがなく、


実験施設の場所はおろか、年間どのくらいの動物が

実験に使われているかといった具体的な統計が測れない現状もあります。




化粧品における動物実験の問題は

1980年代頃からヨーロッパで化粧品の動物実験反対運動が広まり、

度重なる法改正の延期などもありましたが


たくさんの方の地道な活動のおかげで、ようやく2009年にEU(欧州連合)全域で

化粧品原料の動物実験と、動物実験が行なわれた化粧品の完成品及び

原料の取引(販売と輸入)が禁止されました。



また、2013年には、2009年の禁止令の際に例外として

猶予を与えられた残り3つの試験

【反復投与毒性、生殖発生毒性、毒物動態】

に関しても禁止となり、

EU域内で化粧品の動物実験が全面的に禁止されます。


そして2018年に、EUが化粧品のための動物実験の世界的禁止を目指す決議を採択し

2023年までに世界的な禁止を実現させようと各国に呼びかけたことで、問題改善に取り組む国が増えました。


▼完全禁止の国

EU加盟国、イギリス、アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン公国、イスラエル、インド、メキシコ、セルビア


▼完全ではないが、禁止が行われている国・地域

アメリカ(カリフォルニア州・ネバダ州・イリノイ州・バージニア州・メリーランド州・メイン州・ハワイ州・ニュージャージー州・ルイジアナ州・ニューヨーク州)、カナダ、ブラジル(サンパウロ州・マトグロッソ州・パラナ州・パラー州・アマゾナス州・リオデジャネイロ州)、ニュージーランド、グアテマラ、コロンビア、エクアドル、トルコ、台湾、韓国、ベトナム、オーストラリア


今や約40か国が動物実験を廃止し始めていて、クルエルティフリーな化粧品は、世界のスタンダードとなりつつあります。





では、我が国日本ではどうでしょうか??

世界各国の動きに対して、

日本でも自主的に動物実験を廃止している化粧品メーカーは多数あります。



しかしながら、現状法律で全面禁止するところまでには至らず、

厚労省も代替法を勧める通知を企業に出しているものの

なかなか広がらないのが現状だそうです。


化粧品における動物実験がなくならない理由はいくつかありますが、

大きいと思われるのが中国への輸出化粧品の規制に対する問題です。



日本の化粧品の海外輸出先は

約7割が中国で、年々増加傾向にあります。(2020年時点)




中国は2014年6月から、国内で製造される化粧品に対する

動物実験の義務付けを解除していますが


中国に化粧品を輸出する場合には、中国政府当局が指定する中国国内の試験機関で

動物実験を実施し、そのデータを提出して承認を受けなければいけません。


要するに、日本にとってのお得意先である中国というマーケットが

自国への輸入化粧品に対して未だに動物実験を義務付けていることから

日本の企業にとっては、なかなか辞めたくても辞められない現状があるということですね。





企業にとっては、動物実験に代わる安全性実験へ移行するには

新たな人員確保や新設備を作ったり、お金もかかります。



また、化粧品の新規原料開発は、

成功すれば非常に大きな利益になる可能性があります。

しかし、新規原料というのはお肌への影響が未知な分、必ず安全性の検査が必要になってきます。


特に、薬用化粧品(医薬部外品)の開発において

過去に使用されたことのない新しい添加剤(薬効成分のこと)を配合して

薬用化粧品をつくる場合は、厚生労働大臣の承認が必要で

9種類の毒性試験が義務づけられており、



そのうち、ヒトパッチ試験を除く8種類の試験で、動物実験が求められています。

(動物実験に代わる代替法での申請も少しずつ整えられてはいます)




SDGsなど、世界的にエシカルな化粧品が求められる流れではあるものの、

現実問題として日本では、企業の利益優先や制度的な壁もあって

禁止にまでは至っていません。


もちろん、自主的に動物実験を行っていない企業は

あるので、できない訳ではありません。


けれどEUが動物実験禁止に至ったのは

多くの消費者が「NO!!」を声にして、動いた結果なんです。





日本の女性が化粧品会社に対して、

『クルエルティーフリーの化粧品が欲しいです!!』

と声を上げ、企業が「クルエルティーフリーの化粧品は需要があって売れる」と

認識させていくことが現状を変えられるアクセスになります。


クルエルティーフリーの化粧品の方が圧倒的に売れる!!という市場にするには

【消費者の声を届ける】しかありません。


だからまず私は「現状を知ること」が、何よりも大切だと考えます。

過去の私のように、知れば変わる人がきっとたくさんいるはずです。


日本が、なぜこんなにも環境後進国と言われたり

クルエルティーフリーやエシカルな化粧品が少ないのか??


それは、【ただ現状を知らないだけ】という理由が圧倒的です。

それは逆に「知れば変わるかもしれない」という、希望でもあります。



ethical cosmeticでは

動物実験が必要な新しい最新の成分などよりも

何百年とずっと昔から繰り返しお肌にいいよ、と言われ使われ続けてきた

アロエ、へちま水、米ぬか、バラ、クレイ。。。といった

伝統自然素材を中心にレシピを構築しています。




命の犠牲の上に成り立つ美容ではなくて、

自然の恩恵を肌で感じられるエシカルな化粧品を、多くの女性に知ってもらいたい。



そもそもの大前提として、

この地球上で、私たち人間という種だけが偉くて尊いわけではありません。

たくさんの生物達の共生によって、私たちの命は支えられています。



私たちは(動物に限らず)他の命を食べなければ生きていけない存在です。

けれど、今の社会はあまりにも人間至上主義に偏っていますよね。


私たちは、つい日々の忙しさを理由に

当たり前に大切にしないといけない、「命へのリスペクト」を忘れがちです。




動物実験に限らず、畜産など食の問題などもあります。

無駄に苦痛を与えられたり、命を摘み取られたたくさんの声なき声を、今一度

こういったクルエルティーフリーコスメを通して聞くきっかけになれば嬉しいです。




どうか昨日よりも今日が。

今日よりも明日が。

すべての生きとし生けるものにとって

より優しい世界でありますように。




人にも地球にも優しい手作りコスメスクール
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増岡晶子(ますおかしょうこ)



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